植物の花びらや葉や茎、果皮などに含まれているエッセンシャルオイルですが、そのまま利用するのではなく、ギュ~っと濃縮したものを利用しています。特殊な方法を用いて抽出するのですが、手間も時間もかかるため大量生産というわけにはいかないようです。さらに、高純度のものを抽出するために、沢山の原料を必要とします。例をあげると、ロースオイル1滴を得るためには、30個前後のバラの花が必要なのだそうです。このような理由から、エッセンシャルオイルが比較的高価なのも当然というか、納得できます。
では、その抽出方法にはどの様な方法があるのでしょう。代表的な方法は以下の4種が利用されています。
水蒸気蒸留法
アラブ人によって、10世紀末ごろに発明されたといわれている方法です。歴史は古いものの、現在でもこの方法が最も多く利用されています。
その抽出課程は次の様になります。
- 原料の植物を容器に入れ、したから水蒸気を当てます。
- 植物を通過した水蒸気を冷却します。
- 液化した蒸気の中のオイル成分を取り出します。
精油によって、「蒸気の圧力・温度・所要時間」が異なるため、うまく蒸留するためには長年の経験が必要ですが、一般論としては、できるだけゆっくり進めることで上質の精油を得ることができます。
ちなみに、オイルを取り出した後に残った水は「ハーブウォーター」になります。棄てるところはありませんね。
圧搾抽出法
この方法は、グレープフルーツやレモン、ベルガモットなど、果物の皮からオイルを抽出する場合に用いられます。果皮を手や機械で押しつぶして絞り出します。現在は機械で圧搾するのが主流ですが、最上の精油はやはり手搾りのものでしょう。
熱を加えずに抽出する精油ですので、他の抽出法で得られる精油より変質しやすいのが特徴です。長期保存には適しませんので、開封後は6ヶ月程度で使い切るようにすると良いでしょう。
冷浸抽出法(アンフルラージュ)
ローズやジャスミンなどの花から抽出する場合に使用される方法で、もっとも高品質な精油を抽出する伝統的な方法です。トレー(ガラス板)に植物油や動物性脂肪を塗り、そこに花びらを乗せます。脂肪に花びらのオイルを吸収させた後、その脂肪からオイルを分離し、精製して純度を高めます。
有機溶剤抽出法
薬剤を用いる比較的新しい抽出法で、いくつかの花のアブソリュートが生産されています。
ヘキサン・石油ベンゼンやエーテルなどの有機溶剤を用いて精油を抽出する方法ですが、最近では、液体ブタンや液化二酸化炭素が使われることが多いようです。
- 直径1.5cm、高さ2mの円柱形の大きな釜に10cm暑さに植物を重ね、メッシュの中蓋をのせ、また植物を重ねるを繰り返し、釜いっぱいに入れます。
- 釜の中に熱された石油エーテル等を入れ、香りを移す。(赤黄土色の液体になります)
- この液体から水分を蒸発させると、コンクリートと呼ばれる固形ワックス状のものが採取できます。
- このコンクリートをアルコールで精製して、精油を抽出します。
毒性が強い有機溶剤を使用していますので、ほんの少しでも残留していた場合免疫機能の低下・アレルギーの原因になります。必ずアレルギーテストを行ってから用いて下さい。できるなら、二酸化炭素を用いて抽出したものを見つけるのが望ましいでしょう。